2025.9.10

0.401点差の悔しき4位。 発熱のエースと痙攣の仲間を支えた、ジュンスポーツ北海道の挑戦


わずか0.401点。
その小さな数字に、チームの悔しさと誇りが刻まれた。

2025年9月6日・7日、八王子エスフォルタアリーナで開催された「第58回全日本シニア体操競技選手権大会」。ジュンスポーツ北海道は男子団体で4位の成績を収めた。表彰台まであと一歩。手を伸ばせば届きそうな差が、最後までチームを追い詰めた。

エース前田の苦闘


チームの中心・前田航輝は、今季たび重なる体調不良に苦しんでいた。
全日本個人総合の出発前にも高熱に倒れ、リンパの腫れで全身が重くなる中での戦いを経験した。そして今回の全日本シニアでも、前日に38度を超える発熱。前日練習を欠席し、補欠への交代も検討されたが、チームは「替えの利かない存在」として出場を決断した。

当日朝になってようやく37.2度まで下がり、「危険なら途中棄権」という条件付きで午後3時50分、フロアに立った。揺れる体を必死に支えながら演じ切る姿に、仲間全員が胸を打たれた。


最終種目・平行棒の危機


試合のクライマックス、平行棒を前にして新たな試練が訪れる。
豊澤鉄平が突如筋痙攣に襲われ、立っていられないほどの痛みに顔を歪めた。全日本個人総合の最終種目・ゆかでも全身痙攣に見舞われていた豊澤にとって、再び訪れた悪夢だった。

しかし、トレーナーが懸命な処置を施す。短時間でのマッサージとケアにより、豊澤は何とか演技可能な状態に回復。痙攣に耐えながら平行棒に上がり、最後までやり切った。その姿に観客の祈りと拍手が重なった。

結果と意味


合計得点は319.193。
結果は「4位」。表彰台まではわずか0.401点差だった。

前田の発熱、豊澤の痙攣――二重の逆境を抱えながらも、仲間が互いを支え合い、最後まで戦い抜いた。

届かなかった表彰台の先に、確かな絆と可能性が刻まれた。


次なる戦いへ


11月に控える全日本団体選手権。ジュンスポーツ北海道は予選8位からの挑戦となる。Ⅰ班からの逆転は容易ではない。だが、発熱のエースを支え、痙攣の仲間を救ったチームには、その力がある。

「北から、挑む。」
その言葉を胸に、彼らは再び大舞台へと歩を進める


応援していただいた皆さまへ
最後に、この大会に際し応援いただいたすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
選手たちが困難を乗り越え挑戦できたのは、皆さまの声援と支えがあったからこそです。今後もジュンスポーツ北海道の挑戦にご期待ください。