8月10日、午前7時50分。まだ涼しさを残す札幌の体育館に、器具練習の音が響く。
この日はジュンスポーツ北海道の試技会。午前と午後に分かれ、全日本シニア本番と同じ進行で行われた。
午前|個人出場組、平行棒からの9時スタート
午前の部には、工藤友也、白石祐樹、山岡航太郎、青木龍斗、神本将、大谷直希の6人が並んだ。
開始種目は平行棒。9時きっかりのスタートに加え、器具練習がわずか7時50分からの1時間――本番同様の条件で臨んだが、反応の鈍さや小さな乱れが目立った。
神本は得意の平行棒で11.166と伸び悩み、続く鉄棒では13.200と持ち直すも、爆発力は見せきれない。
最終種目の跳馬、大谷は高難度ヨネクラを決めて会場を沸かせた。
午前の試技から見えたのは、競技力そのものよりも「大会当日の時間配分」という課題。限られたウォームアップ時間と本番の集中力――調整力が結果を左右しそうだ。
午後|団体出場組、鉄棒から物語を描く
午後に登場したのは団体メンバーの6人。前田航輝、青木翔汰、豊澤鉄平、金子和輝、中川将径、長﨑柊人。
鉄棒から始まり、先陣の金子が安定した演技でチームを牽引。長﨑は落下も、前田がその流れを立て直す。中川、豊澤、そして青木翔汰が続き、豊澤の体線美と青木翔汰の堂々たる締めが勢いを生んだ。
続くゆかでは、前田や青木翔汰といった得意種目の選手にミスが出る。種目間休憩によるリセットが、集中力の維持を難しくしたか。
あん馬では長﨑が2度の落下。鉄棒での失敗の余韻を引きずった形だ。
それでも、つり輪、跳馬、平行棒では大きな崩れなくまとめる(豊澤は平行棒で落下)。
チーム全体としては、良い場面と悔しい場面が交錯する内容だったが、ゆか・あん馬・平行棒での改善余地を考えれば、上積みは十分に可能だ。
最終試技会は、単なる調整ではない。
そこにあったのは、仲間の演技に息を合わせ、己の限界を本番同様に試す「勝負の感覚」だった。
残された時間はわずか。だが、北の挑戦者たちは知っている――勝負は、競技が始まる前からすでに始まっていることを。
📢 今後の試技会スケジュール
2025年8月17日(日) ジュンスポーツ北海道 女子最終試技会
全日本シニアを目前に控え、女子選手たちが本番仕様の演技で仕上がりを確認します。
2025年8月24日(日) ジュンスポーツ北海道 男子最終試技会(全日本直前)
男子選手たちが全日本直前の仕上げに臨む、本当の意味での“ラストテスト”。
両試技会とも、本拠地である「ジュンスポーツクラブ月寒」にて実施予定。
選手たちの最後の追い込みと調整、その一瞬一瞬が勝負のカギを握る。
